スズイチのブログ

世間から無視された人へ

僕の嫌いな奴が脱サラしてパン屋を開業していた。

先日、何気なくテレビを観ていたら、何と僕の知り合いが出演していてとても驚きました。

それは地方ローカルの番組で地元の飲食店や娯楽施設を紹介する内容なのですが、その知人(男性)は去年あたりにパン屋を開業して夫婦二人三脚でお店を切り盛りしている、とのことでした。

 

もっとも知人といっても、僕はその人に対してあまり良い印象は抱いておりません。むしろ嫌いなぐらいです。

 

今から10年以上前の事です。僕は大学を卒業した後に地元の製紙工場に就職しました。

主な仕事内容は製品の検品作業。ベルトコンベアから流れてくる製品を目視検品する仕事です。

仕事は二人一組の交代で行います。一人が検品作業の間にパートナーのもう一人は用紙に異常を書き込む作業をします。終業時間まで役割を交代しながら作業を続けます。

入社して1週間後ぐらいのある日、作業にようやく慣れ始めた頃です。僕が検品作業を終えて、パートナーと交代して用紙記入の役割に移った時の出来事です。

用紙記入の仕事は、異常が発見された時だけ用紙に記入していくものであり、異常がない間は「待機」となります。

検品作業は目を酷使する作業です。検品を終えて用紙記入に移った僕はメガネを外して目を閉じて目頭を押さえていると、突然、「おい、起きろ!!」と怒声が聞こえてきました。

びっくり驚いて目を開けるとそこには怒気を発している見知らぬ男性作業員がすぐそばに立っていました。

「休憩じゃ、ないんだぞ! 二人で検品するんだよ!!」と凄まじく激高しながらその男性社員は僕に対して叫んできました。

まだ入社して1週間ぐらい。周りの状況がよく分かりません。目の前の激高している男性の名前やら所属先やら肩書やらが一切わかりません。

「どうも、すみません」とっさに謝る僕。何が何だか分かりません。用紙記入の番なのに検品もしなければいけないのか。知らなかった。視なくても良い、と思っていました。でも何も突然怒鳴らなくても・・・。

パートナーにも謝っておきましたが「別にいいよ」 というかパートナーもびっくりしていました。「検品はどうしても眠くなってしまうからね」と同情してくれました。

結局、かつては検品の仕事は2人で行っていたようですが、方針が変わって僕が入社した頃には1人でやるようになったわけです。

しかし怒鳴り男はそれを知らなかった。それで僕に喚き散らしたようです。でも事情が判明しても彼から謝罪はありませんでした。

この1件で新入社員であり元来、小心者の僕はすっかり気持ちが萎縮してしまいました。

 

後から判明した事ですが、僕を突如怒鳴りつけてきた男性職員はYという男で3歳ばかし年下ですが入社は僕よりも早いです。僕とは別のエリアで働いております。リーダーでも何でもなく、ただの平社員です。

体格は僕より一回り大きくて、他の先輩社員には愛想が良いですが僕には常に威圧的でした。何故だかよく分かりません。僕自身凄く嫌な気分になりました。

Yとはよく話し合ってわだかまりを失くすべきだったのでしょうが、臆病な性格の僕にはそういう事は無理であり、ただひたすら彼と距離を取るのみでした。

 

ちなみに後の何かの機会の時に、Yが検品作業にヘルプで入ったことがありました。そうしたらYは用紙記入の時に何と競馬新聞を読んでやがったのです。

本来なら今度は逆に僕がYを怒鳴りつけるべきだったのでしょうけど、小心者の僕にはそんなことは出来ませんでした。我ながら情けない限りです。だから僕は結婚できないのでしょう。

 

その後僕はその会社を退社しました。それから10数年後。先日地方ローカル番組を観ていたらあのYが出演していました。

地元の自営業のパン屋を特集している回でした。夫婦2人でお店を切り盛りしているとのこと。夫であり店長の男がカメラに向かって自ら作ったパンの味などをアピールしていました。

その店長の男。よくみたら、あのYでした。すこし太っていました。

新入社員だった僕を突如怒鳴りつけた奴。自分は競馬新聞を読んでいたくせに。

なんだ、あのYが脱サラして独立して自分の店を経営しているのか。そう思うと何だか凄く腹が立ちました。

その番組にはレポーターとして全国的に有名な某お笑いコンビが出演していますが、Yはそのお笑いコンビ達と軽快なトークを展開しておりました。そこにも腹が立ちました。普通にサラリーマンしていたらテレビでお笑いコンビと絡むなんてことは無理ですからね。

Yの経営しているパン屋をグーグルで検索してみたらクチコミが9件入っており、4.4の高評価でした。そんなところにも凄く腹が立ちました。

しかもそのパン屋は僕の自宅からもの凄く近いのです。徒歩10分。歩いていける距離です。こんな近くにいたのか。めちゃくちゃ腹が立ちました。

さらにYは結婚しております。夫婦二人三脚でお店を切り盛り、とのこと。もう腹が煮えくり返ります。なんであんな奴が結婚出来るんだ。しかし嫁さんの顔がテレビの画面に映し出された途端、心境が変化しました。Yの嫁はあまり美人ではなくおまけに恰幅の良い人だったので、怒りが急速に冷えてしまいました。

 

なぜ僕がこんなに腹が立つのか(嫁のルックスを観た途端に怒りが冷えましたが)。それはYが嫌な奴ということもありますが、単純に僕の人生があまり上手くいっていないからでしょう。

考えてみると脱サラしてお店を経営する、というのはある程度の能力や覚悟が必要であり、独身で実家住まいの雇われサラリーマンの僕がとやかく言う権利や資格は無いと思います。

 

ただ、やはり今はYのお店に行く気にはなれません。(Yも僕には来てもらいたくないでしょうけど)

僕は、まだ、あの時のことを、覚えています。忘れられません。

正直、テレビを観ていた時は思わず「潰れちまえっ!」と画面に向かって叫んでしまったり、石を投げて窓ガラスを割ってやろうかなとか店に火を点けてやろうかなと、危険な妄想をしていました。もちろん実行に移すつもりはありません。妄想とはいえ、反省しなければなりません。

 

いつかYのパン屋で買い物できる日がくれば良いなと思っています。そしてYに対して「よう、久しぶり」と声を掛けれる日がくれば良いなと思っています。それには僕の精神的な成長な必要でしょう。