スズイチのブログ

世間から無視された人へ

最新の機械を導入して工場を無人化してください。

僕は自動車の部品を製造する工場に勤めています。

先日、現場の責任者との「ヒアリング」が行われました。

 

ヒアリング」とは数か月に一度、現場の責任者と作業員が二人きりマンツーマンになって、会社の今後の目標や展望、不満や要望をお互い言い合う機会の事です。

 

全従業員対象です。一人15分から30分程度でしょうか。その日の朝礼の時に順番を発表されます。

 

僕の順番が来ました。僕が責任者に対して出した要望は「AI搭載の自動溶接機を導入して工場を無人化して欲しい」でした。

はっきりいってこれは半分冗談みたいなものです。僕の勤めている工場にそんな最新鋭の機械を導入する資金はおそらくないでしょう。

ただ「ヒアリング」の場において何かしら責任者や会社に要望を出さないと何となく決まりが悪いので今すぐには実現不可能な事を理解した上で要望をだしました。

そもそも自分で言っておいて恐縮ですが「AI搭載の自動溶接機」って何なんだっていう話です。そんな物がこの世に今現在存在するのかっていう事です。

 

要は工場を無人化して欲しいんです。

今の作業方法は部品を一個一個人間の手で機械にセットしてから起動ボタンを押しています。

溶接自体は機械が自動で行っていますが、完成品は人間の目視で確認しております。

そういう過程を自動化してほしいわけです。いちいち部品をセットしたり完成品を一個一個目視するのは目や体を酷使するし集中力にも限界があるので、なるべく楽をしたいという堕落した考えから発想しました。

僕の考えでは、せいぜい人間の介在する作業は部品を補充する事と完成品を出荷する事ぐらいでしょうか。部品セットも目視チェックもAI搭載の自動溶接機がやってくれれば数量もアップするし人間への負担も減らす事が出来るでしょう。

 

そういうことを「ヒアリング」の場で責任者に対して訴えてみましたが、案の定「それは難しいなぁ」と苦笑いされました。

「そうですよねぇ」と僕も苦笑い。まぁ半分冗談で言ってますから。そんな機械を導入する資金が会社にないことは理解してますから。

すると責任者がポツリと「無人化してほしいっていうのは『H』も言っていたんだなよなぁ」と一言。

あの『H』も言っていたの! それを聞いて僕はびっくり仰天しました。

 

『H』、というのは工場の先輩男性です。僕より年下なのにタメ口です。威圧的で冷血で嫌な奴なんです。

僕は『H』の事が嫌いです。多分『H』も僕の事が嫌いでしょう。お互い会話しないし目すら合わせません。同じ空気吸うのも嫌です。

 

そんな『H』ですが、何と僕と同じく工場の無人化を考えていたわけです。(このご時世なら多かれ少なかれ、みんな工場の無人化を考えるでしょうけど)

普段は一切会話しないけど発想していることは同じだった、ということであり、急に親近感を『H』に感じてしまいました。みんな考えることは同じなんだなぁ。

 

そもそも考えてみると、工場を無人化すると人間の作業員がいらなくなります。結果、仕事があまり出来なくて独身である僕は真っ先にリストラの対象になるでしょう。その辺のことをあまり深く考えてはいませんでした。実際に自動無人化が本当に導入されそうになったら反対運動を起こすことになるでしょう。我ながら勝手な考えです。