スズイチのブログ

失敗しても言い訳しない、なるべく

中学の剣道部を経験して本当の自分を知った。

今から約20年前、中学校に入学して剣道部に入部した。

完全な未経験。入部した理由は特にない。しいて言うならば当時対戦ゲームの「サムライスピリッツ」が流行していたからぐらいか。

しかし軽い気持ちで入った剣道部、しかし結果的に人生初の挫折、本当の自分を知る体験になった。

入部当初は基礎体力作り、3年生が引退した夏以降は実際に防具を装着しての練習になりました。

そして校内の1年生だけでの練習試合をすることになった。新入部員10数名のトーナメントだ。

僕の試合はそのトーナメントの第1回戦だった。相手は同じ1年生の初心者同士。

とても緊張したのを覚えている。試合が開始されると何をしていいか分からない。思考停止、頭が真っ白、カカシ状態。ところが対戦相手は同じ初心者なはずなのに竹刀をブンブン振り回してくる。僕はその攻撃を防ぐのが精いっぱいだった。

結局、相手の攻撃が一本になり僕は何もできないまま負けてしまった。とても緊張していたので正直、小手か面か胴か、どの箇所で一本取られたのか分からなかった。試合時間も感覚がマヒしてどのくらいの時間が経過していたのか把握できなかった。

そのあとは他の1年生の試合を見ていた。自分の試合は終わったはずなのにまだ心臓がドキドキしていた。

僕以外の1年生は下手なりにも自分なりに考えて動いて試合をしていた。僕みたいに攻撃もしないで何もしないで立ちつくしている奴なんていなかった。

要は僕はとてつもなく運動神経が悪いのだ。そして頭の回転が悪い。自分の頭で考えるのが苦手なのだ。スポーツには向いていないのだ。

だが当時の僕は頭が悪すぎて、そういった自己分析もできなかった。敗北感はあったが、良くも悪くもあまり深く考えずに次の日以降も部活動を続けた。初めての試合なのだ、これから上手くなればよいのだ、と頭を切り替えていた。

初の練習試合から数か月後、剣道の一級審査を受けることになった。

一級審査の内容(地域や時期によって違うらしい)は切り返しと、あとは数十秒の試合をすることだった。

切り返しとは正面打ちや左右打ちを連続して打ち込む剣道の基本稽古のことで、試験ではこれを攻めと受けを相手を変えてそれぞれ一回ずつ行う。

一級審査は僕を含めて一年生は全員受けた。

試験ではやはり緊張した。型や動きの上手さが採点基準なのでいつもより丁寧に竹刀を振った。自分なりに精いっぱい体を動かした。

しかし結果は2、3名が合格しただけで、ほとんどが落ちた。まだ経験3か月ぐらいなのだ。記念受験といっていい。

それから数か月後。2回目の一級審査。なんとそこで僕の中学の部活内では、1年生は10数人いるが、みんな合格して僕だけが落選してしまったのだ。

合格者は受験番号が掲示板に記載される。それを見てみんなが歓喜の雄たけびをあげるなか、僕だけがみんなの環に入ることが出来ずに茫然を立ち尽くしていた。

あの時のみじめな気持ちは20年経った今でも忘れることは出来ない。みんな合格したのに僕だけが落ちたのだ。同じ1年生で練習開始時期は同じなのに僕だけが落ちたのだ。

落ちた理由は、同級生に聞いたところ僕の動きはとても「ぎこちない」そうだ。「動きが変だ」とも言われた。僕はとても姿勢が悪く、おまけに自分では気づかなかったが首を傾げる癖があり、剣道着を装着していると、よりその首曲がりが強調されてしまうのだ。動きの型をみる審査などではその癖は致命傷になってしまう。

中学の部活動を通じて僕は周りの人たちとの差異に気づかされた。自分では普通だと思っていたのに僕だけが運動神経が著しく劣っていたのだ。

結局、一級審査は合計4回受けたがすべて落ちた。同級生は「初段」になったり「二段」に挑戦する奴もいたが僕だけが「級外」のままだった。2年生になって後輩たちと一緒に受験することもあったが、後輩のなかから合格する奴もいたが、僕はやっぱり不合格だった。

練習や努力が足りなかった、ということなんだろうけど部員内の誰もが2回以内に合格していく中で、恥ずかしさやら挫折感やらで気力が失われてしまった。自分の能力を見限ってしまった。

剣道部を辞めようかなと思ったけど、中学校の部活は簡単には辞めれない。結果3年間は惰性で続けていました。部活内では完全にお荷物状態。いないほうがましな存在だった。

ちなみに練習試合や公式戦にも何試合か出場させてもらえたが、全敗。全て負け。3年間、1回も勝てなかった。でも自分自身の実力を見限っているので悔しさもあまり感じなかった。

それでも他の部員たちの僕への接し方は優しかった。部員内で完全な足手まといな僕に対して、いじめやからかい等もなく普通に接してくれた。みんなで気を使ってくれていたのだ。こういう気づかいは社会人になってから気が付いた。会社で怒られたりいじめられたり陰口を叩かれたりする内に「あぁ、剣道部の連中は優しかったな」「バカな僕に対して普通に接してくれていたなぁ」。今では本当に剣道部の部員たちには感謝している。

今考えてみるならば「僕だけ一級審査に受からずに級外のまま」という経験はその後の僕の人生を暗示していたように思う。落ちこぼれとしての人生を歩むことを象徴していた。周りから僕だけが取り残されていく人生だ。