スズイチのブログ

失敗しても言い訳しない、なるべく

アジア系技能実習生 その4

僕は自動車部品工場で働いている。

そこでは4人のベトナム人技能実習生として働いている。

その中の一人が3月いっぱいで退社することになった。彼はまだ40歳半ばであり、僕にとっては晴天の霹靂だった。

その人は、日本の大学院を卒業して日本語を流暢に喋ることが出来て、技能実習生の中でもリーダー的な存在だった。

僕が今の職場に初めて配属された時に、手取り足取り仕事を教えてくれたのがそのベトナム人技能実習生だった。僕にとっては師匠と言っても良い存在だ。

最初のうちはよく怒られた。「動作が遅い」「なんで出来ない」「言わなきゃだめだ」「おまえ、ばか」などなど。挙句には「日本語、分かりますか」 僕の頭の回転の悪さを揶揄された言葉だが、外国人に言われると、けっこう屈辱的だ。

そしてよく言われたのが「頭、使ってください」 作業を効率よく、無駄のない行動をするよう頻繁に注意を受けた。

嫌なこともかなり言われたが、僕はこのベトナム人実習生に教わった事を必死に覚えて実践していった。

僕は自分なりに出来る範囲で、ひとつずつ、少しずつ仕事を覚えていった。

このベトナム人はとても手先が器用でトラブルが発生して機械がストップしても大抵自分で直していた。

それに常に頭を使いながら効率良く仕事するよう考えており、自分なりに作業をアレンジして色々な事を試行錯誤しながら仕事をしていた。

そんな優秀なベトナム人に、マニュアル人間指示待ち人間の僕は必死に付いていった。付いていくのがやっとだった。

そのベトナム人が3月いっぱいで退職するという。表向きの退職理由は「家庭の都合」

しかし退職する本当の理由は僕が考えるに、日本の労働環境が嫌になってしまったからだと思う。

僕の働いている工場は年明けからも非常に忙しく、一日中立ちっぱなしで、20時まで残業は当たり前、土曜出勤も当然存在するという拘束時間の長い労働環境だ。(どこの国のどの工場も似たようなものかもしれないが) それでいて給料はそれほど高いわけでもなく、なにより彼ら外国人技能実習生にはボーナスが支給されない。

世界的に見ても、日本の労働環境は「低賃金で長時間労働」は有名だ。それでいて景気はほぼ停滞している。日本にいても明るい未来は、見えてこない。

そんな状況にベトナム人は嫌気が差したんだと思う。そして日本を脱出して一旦ベトナムへ帰ってしまった。他にも3人、ベトナム人技能実習生がいるが、彼らはとりあえず日本に残留して工場で引き続き働いていくという。

優秀なベトナム人が退職することは工場としても痛手であり、僕としても今まで散々、世話になっただけに、寂しい限りだ。

彼からすれば、僕みたいな人間を見て「案外、日本人て、馬鹿だなぁ」と思うかもしれない。「日本人て自分で物事を考えないなぁ」「言われたことしかできないなぁ」

ベトナムからの実習生。本来は立場的に日本人が彼らに仕事を教えなければならないのに、少なくとも僕は逆に彼らに仕事を教えてもらった。彼らベトナム人に感謝すると共に、彼らを見習わなければならない。