「イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る」を読んだ感想

「イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る」著デービッド・アトキンソンを読みました。

この本には日本経済の悪い点や改善点が書かれており、読んだ後では日本に対しての印象が随分変わってしまいます。

僕の中では、残念ながら日本の「高度経済成長」の幻想が崩れてしまいました。

これまでは、戦後焼け野原になった日本が立ち直れた理由は、日本人の勤勉さや技術力の高さによって実現出来た、と漠然に思っていましたが、この本ではそれらは「妄想」であると断言しております。

高度経済成長、それはいわゆる団塊の世代と言われている「爆発的な人口増」によって実現出来たのです。さらに加えて「復興」にむけての建築やインフラ整備などの仕事が山ほどあったからなのです。それらのことが「数字」によって分かりやすく証明され解説されております。

「日本人が勤勉だったから」とか「技術力が高かったから」というのは幻想に過ぎなかったのです。それらは2018年現在、韓国や中国の台頭を見ると妙に納得していまいます。

本には日本社会の問題点として、とにかく自画自賛が多い所と説いています。産業によっては外資系が少なく競争が少ないのでしかたなくそれを選んでいる、というのに「日本の品質は世界一だから選ばれている」と国民は勘違いしてしまっています。

日本のサービスは客よりも供給側を優先させていることにも言及しております。顧客のニーズを調査せずに技術者のエゴを優先させた「ガラパゴス携帯」が良い例です。

著者が外国からの客人と名門老舗旅館に宿泊したときのエピソードが書かれております。予定よりも早く旅館に着いてしまい、早く客人を休ませてやりたいと旅館の女将に頼んだら「チェックインは午後3時からですのでその時間にまたきてもらえますか」と断られたそうです。

部屋は空いており掃除は済んでいるのにも関わらず、「チェックインは3時からです」の一点張りだったそうです。

しかたなしに旅館に併設されているレストランに入ろうとしたら、「ここの利用は宿泊客のみとなっております」と無下にも断られてしまったそうです。

この旅館のサービスも客の事を無視して、自分たち旅館の運営を優先させているのです。

ちなみにこれと似たようなエピソードは松本人志の著作「怒り 青」でも書かれております。p36-37の「従業員教育ができていない飲食店」です。個室が空いているにもかかわらず店側からは「前日予約ではないと利用できない」と断られて、松本人志が憤慨しております。

この本には様々なデータが「数字」で表現されており、非常に説得力のある経済論評になっております。国内の製造業が駄目になり、これから観光立国を目指す日本の最適な本になることでしょう。